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aaes's blog

浅間・吾妻エコツーリズム協会のスタッフによりエコツアー/自然体験イベント/ものづくり/セミナー・講習会/その他サービス事業を紹介しています。

天空の近代遺跡 エコツアー「破風岳登山と小串鉱山跡散策」

 

10月4日にエコツアー「破風岳登山と小串鉱山跡散策」2名様のご案内をさせていただきました
破風岳登山と小串鉱山跡散策【万座温泉ご宿泊者向き】 浅間・吾妻エコツーリズム協会

 

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ツアーの入口となる毛無峠へ向けて出発します。
ところが、道路事情があまりよくありません。上州の秘境とも言える毛無峠は、もともとアプローチの困難な場所で、地元の人でさえあまり立ち入らないところです。それが火山活動や土砂崩れの影響でますます困難なアプローチに。しかも、迂回路に使った国道292号線は17:00にゲートが閉まってしまいます。シビアなタイムスケ
ジュールになりそうです。

(※11月14日(金)から、万座ハイウェ-の通行が再開される見込みです。 詳しくは群馬県のウェブサイト(http://www.pref.gunma.jp/01/g3500088.html)をご覧ください。)

 

草津白根山から万座へと車を走らせます。
途中の山々は素晴らしい紅葉を見せています。
赤いナナカマドや黄色のダケカンバについ目が奪われてしまいますが、よく見ると、濃緑のコメツガやシラビソがそれらを引き立てていることがわかります。

 

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毛無峠に着くと、風が強く、霧が速い速度で流れていました。
御飯岳(おめしだけ)から土鍋山の間にある鞍部に位置する毛無峠は、風の通り道になっています。
そんな毛無峠は、ラジコングライダー愛好家の集まる場所にもなっています。彼らはグライダーをのびのびと飛ばせる場所を求めて、こんな秘境にたどり着いてしまったのでしょうか。
風吹く谷にグライダーが飛翔している光景は、宮﨑駿監督のアニメ映画『風の谷のナウシカ』の世界観を彷彿とさせます。


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ここから破風岳の山頂を目指します。
破風岳は標高が1999mあることから、1999年にちょっとした登山ブームで賑わったことがありました。
そんな破風岳も、今は霧の中に寂寥感を見るばかりです。


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ゆっくり歩いて40分で山頂に到着。
霧がすっかり展望を隠してしまっています。
しかし、気温は上昇傾向をはっきりと示し、西の空に明るさも見えます。
昼ごろには視界が開けてくるでしょう。


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小串硫黄鉱山跡は、群馬県嬬恋村にあるのですが、いったん長野県へ出なければそこへ行くことができません。


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県境で道は車止めになっています。
ここから先は地滑りの危険があるため、関係者以外の立ち入りは禁止されています。
このため、自治体がこのようなツアーを公式に行なうことはできません。

今回のエコツアーは、自己責任での行動を原則として、自然環境の調査や、価値ある歴史遺産の継承を目的とした立ち入りは認められるべき、との判断に基づいて行われているものです。


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硫黄を運び出すための索道として使われていた鉄塔が立ち並んでいるのが見えます。
手前にある大きな岩はいつ落ちてもおかしくない状態です。
参加者の方から、
「この岩には何か名前があるのですか?」
とのお尋ねがあったので、とりあえず、
「『おっかな岩』でどうでしょうか……」
とお答えしました。


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さっき登った破風岳を振り返ります。
霧が晴れ、参加者には安堵の表情が。


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向こうの土鍋山には木が生えているのに、こちらにはほとんど高木が見られません。
鉱山跡周辺の標高は1600mほどですが、森林限界を超えたかのような高度感があります。


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鉱山跡入口にある地蔵堂で昼食です。

小串硫黄鉱山は1923年(大正12年)から硫黄の採掘を開始し、1971年(昭和46年)に閉山されるまでの49年間、日本の近代産業を支えてきました。

1937年(昭和12年)、小串硫黄鉱山は大規模な地滑りにより、犠牲者245名を出す壊滅的な惨事に見舞われます。

しかし、小串硫黄鉱山はこの災害を乗り越えて再建され、生産規模で国内第2位の硫黄鉱山になりました。


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地蔵堂にはまだ新しいピンクのカーネーションが供えられていました。


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食後のティーブレイクです。
長野県産のリンゴ『秋映』と葉菜紬さんのハーブティー(ミントミックス)に、ナッツとドライストロベリーを添えました。

浅間高原産のハーブをふんだんに使い、専用の乾燥室で短時間に乾燥させて作られた葉菜紬さんのハーブティーは、香りが格別です。


昼食を終え、鉱山跡を散策します。
一歩足を踏み入れると、そこはエキゾチックな山岳風景と廃墟が織りなす異界が広がっています。


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スペインの古都、コルドバのパティオを思わせる変電所。


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山腹に空いた本坑坑口。


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製錬所跡。


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「SK32」の刻印は耐火レンガの証。


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居住区付近でみつけた小さな茶碗。


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付近にあった玉うどんの袋。
「長野県須坂市 牧製麺工場」とある。


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国内のほとんどの硫黄鉱山は閉山後、緑化されています。
しかし、ここ小串硫黄鉱山は閉山後40余年たってなお、緑化されておらず、堆積した鉱山残渣物がむき出しのままになっています。

ここが緑に覆われる日、小串硫黄鉱山は本当の意味で閉山を迎えることになるのでしょう。

ぽっかりと開いている、異界への扉を閉じるように――
いつかその日は来るのかもしれません。

そうだとしても、この自然と人為の、不思議なめぐり合いの記憶は、きっと人のこころに長く残っていくに違いありません。


ツアー実施日:2014年10月4日
ガイド担当:古川 広樹

破風岳登山と小串鉱山跡散策【万座温泉ご宿泊者向き】 浅間・吾妻エコツーリズム協会